梅雨の合間の晴れはものすごく貴重だ。うちの母親は朝からここぞとばかりに家のすべての欄干を使って布団を干すと張り切っていた。
しかし、たとえ雨が降っていなくても、このじめっとした空気はどうしようもない。俺は今日もリハビリが終わってから月白神社に立ち寄っていた。
参拝所の隣にあるベンチに腰かけ、項垂れて体を前のめりにさせたが、すぐに姿勢を正す。なにげない姿勢の悪さを指摘されるうちに、どんなときも姿勢には気をつけるようになった。これはもう習慣だ。
「本当に参拝者が来んのか?」
端から見たらこれはただの独り言だ。だが、俺にとっては立派な問いかけだった。
「今日は久々のお天気だし、誰か来るんじゃないかなぁ」
うしろから返ってきた回答はなんともアバウトだ。毎度のことながら彼女をどこまであてにしていいのか。
セーラー服を身にまとい、高い位置でひとつにまとめられた髪の毛の先は肩より少し下の位置にある。よく似合っているとは思う一方、彼女の足が透けているのが視界に入ると、どこか残念な気持ちになる。
「ねぇねぇシュウくん。せっかくだから、この前みたいにジャンプして見せてよ」
暇つぶしなのか、思いつきなのか、隣に寄ってきユイは提案してきた。その申し出に俺は眉をひそめる。
「やらねーよ」
「えー、なんで? この前やってたってことは、足の怪我はもういいんでしょ?」
不服そうな顔をするユイに俺は軽く手を振った。
「この前見てたなら分かるだろ? もうできないんだよ」
「この前はできなくても、次やればできるかもしれないじゃん」
どこまでも明るいユイの声に、俺の声は硬くなる一方だった。
しかし、たとえ雨が降っていなくても、このじめっとした空気はどうしようもない。俺は今日もリハビリが終わってから月白神社に立ち寄っていた。
参拝所の隣にあるベンチに腰かけ、項垂れて体を前のめりにさせたが、すぐに姿勢を正す。なにげない姿勢の悪さを指摘されるうちに、どんなときも姿勢には気をつけるようになった。これはもう習慣だ。
「本当に参拝者が来んのか?」
端から見たらこれはただの独り言だ。だが、俺にとっては立派な問いかけだった。
「今日は久々のお天気だし、誰か来るんじゃないかなぁ」
うしろから返ってきた回答はなんともアバウトだ。毎度のことながら彼女をどこまであてにしていいのか。
セーラー服を身にまとい、高い位置でひとつにまとめられた髪の毛の先は肩より少し下の位置にある。よく似合っているとは思う一方、彼女の足が透けているのが視界に入ると、どこか残念な気持ちになる。
「ねぇねぇシュウくん。せっかくだから、この前みたいにジャンプして見せてよ」
暇つぶしなのか、思いつきなのか、隣に寄ってきユイは提案してきた。その申し出に俺は眉をひそめる。
「やらねーよ」
「えー、なんで? この前やってたってことは、足の怪我はもういいんでしょ?」
不服そうな顔をするユイに俺は軽く手を振った。
「この前見てたなら分かるだろ? もうできないんだよ」
「この前はできなくても、次やればできるかもしれないじゃん」
どこまでも明るいユイの声に、俺の声は硬くなる一方だった。