住宅街に入って少し入り組んだ道を奥に進んだところに翔人の家はあった。二台以上停められそうな広いガレージは今は空っぽだ。
翔人が家の鍵を回して、ドアを開けると、待ってましたと言わんばかりにアンが元気に走り寄ってくる。
「こら、アン。散歩はまたあとで行ってやるから」
翔人の足元をぐるぐると何度も周り、俺にも同じようにしてくる。そして俺はこっそりとアンの縁の先を見つめた。
神社で折り返して続いている灰色の縁は今二本見える。ひとつはアン、そしてもうひとつは家の中に続いている。どうやらこの家になにかあるのは間違いない。
しかし問題はそれをどうやって切り出すかだ。
「アンちゃーん」
近寄ろうとするユイには容赦なくアンは吠える。そして翔人も声を張る。
「アン、家に中で吠えんな。煩いだろ!」
俺はアンから離れるようにユイにそっと目配せした。それを察してユイも残念そうに背中を丸めてアンから離れる。
そしておとなしくなったアンの横をすり抜けて俺たちは翔人の部屋がある二階へ上がる。アンと繋がっている縁は家の中にあるようだが、見るからに翔人の部屋ではない。
とはいえ不躾にほかの部屋を見せてくれなど言えるわけもなく、こういうところは行き当たりばったりだがしょうがない。
翔人の部屋に案内され中に入ると、いかにも中学生っぽい部屋だった。ベッドの横にある本棚には漫画がずらりと並び、今流行りのアイドルのポスターなんかも貼ってある。
翔人が家の鍵を回して、ドアを開けると、待ってましたと言わんばかりにアンが元気に走り寄ってくる。
「こら、アン。散歩はまたあとで行ってやるから」
翔人の足元をぐるぐると何度も周り、俺にも同じようにしてくる。そして俺はこっそりとアンの縁の先を見つめた。
神社で折り返して続いている灰色の縁は今二本見える。ひとつはアン、そしてもうひとつは家の中に続いている。どうやらこの家になにかあるのは間違いない。
しかし問題はそれをどうやって切り出すかだ。
「アンちゃーん」
近寄ろうとするユイには容赦なくアンは吠える。そして翔人も声を張る。
「アン、家に中で吠えんな。煩いだろ!」
俺はアンから離れるようにユイにそっと目配せした。それを察してユイも残念そうに背中を丸めてアンから離れる。
そしておとなしくなったアンの横をすり抜けて俺たちは翔人の部屋がある二階へ上がる。アンと繋がっている縁は家の中にあるようだが、見るからに翔人の部屋ではない。
とはいえ不躾にほかの部屋を見せてくれなど言えるわけもなく、こういうところは行き当たりばったりだがしょうがない。
翔人の部屋に案内され中に入ると、いかにも中学生っぽい部屋だった。ベッドの横にある本棚には漫画がずらりと並び、今流行りのアイドルのポスターなんかも貼ってある。