翌日の放課後、俺は渋々と月白神社に向かった。暑くはなかったが、どこかべたっと張りつく感じが不快で、途中コンビニで紙パックのピーチティーを購入する。
もしかしたら、昨日のやりとりは全部夢だったのかもしれない。それを確かめるためにも、細い石畳の参道を通って足を進める。そして……。
「あ、シュウくん、ちゃんと来てくれたんだ!」
「来いって行ったのはそっちだろ」
どうやら夢ではなかったらしい。昨日と同じ賽銭箱のうしろで、ユイがこちらに向かって両手を振っている。
ため息をついて石段に腰かけると、買ってきたピーチティーの口を開けた。そこにアンバランスに長いストローを差す。
くるりと振り向き確認すると、やはり視界には鈴緒で折り返した細い糸が見える。そもそも、ここに来るまでにこの糸は見えていたので、ユイを見るまもなく夢ではない事実が突きつけられていた。
灰色の線、縁は昨日よりも少しだけ濃く見えた。
「でも、灰色の縁は人のものではない場合が多いんだよね。黒と白ともまた違う。控えめで無機質さを表しているから」
カラーセラピスト的な話をして考え込むユイだが、俺には不明だ。
「灰色っつーと……分厚い雲というか、埃っぽい陰鬱なイメージだな」
「えー。なんでそんなネガティブなの?」
俺の率直なイメージにユイはいきり立つ。いや、イメージなんて人それぞれだろ。にしても人じゃないってどういうことだ。
「つーか、具体的に俺はどうしたらいいわけ?」
ストローを口にくわえたまま問いかけると、ユイが何気なく隣に座ってきた。
「とりあえず、この縁の主に話を聞いてもらおうかな」
「聞いたところでどうすんだよ。俺は見ることしかできねーし。縁を結ぶとか無理だぞ?」
「私もできないけど」
さらっと言ってのけたユイの顔を俺はまじまじと見つめた。
今、なんと?
ユイはその表情で察したらしく「だからー」と話しはじめた。
もしかしたら、昨日のやりとりは全部夢だったのかもしれない。それを確かめるためにも、細い石畳の参道を通って足を進める。そして……。
「あ、シュウくん、ちゃんと来てくれたんだ!」
「来いって行ったのはそっちだろ」
どうやら夢ではなかったらしい。昨日と同じ賽銭箱のうしろで、ユイがこちらに向かって両手を振っている。
ため息をついて石段に腰かけると、買ってきたピーチティーの口を開けた。そこにアンバランスに長いストローを差す。
くるりと振り向き確認すると、やはり視界には鈴緒で折り返した細い糸が見える。そもそも、ここに来るまでにこの糸は見えていたので、ユイを見るまもなく夢ではない事実が突きつけられていた。
灰色の線、縁は昨日よりも少しだけ濃く見えた。
「でも、灰色の縁は人のものではない場合が多いんだよね。黒と白ともまた違う。控えめで無機質さを表しているから」
カラーセラピスト的な話をして考え込むユイだが、俺には不明だ。
「灰色っつーと……分厚い雲というか、埃っぽい陰鬱なイメージだな」
「えー。なんでそんなネガティブなの?」
俺の率直なイメージにユイはいきり立つ。いや、イメージなんて人それぞれだろ。にしても人じゃないってどういうことだ。
「つーか、具体的に俺はどうしたらいいわけ?」
ストローを口にくわえたまま問いかけると、ユイが何気なく隣に座ってきた。
「とりあえず、この縁の主に話を聞いてもらおうかな」
「聞いたところでどうすんだよ。俺は見ることしかできねーし。縁を結ぶとか無理だぞ?」
「私もできないけど」
さらっと言ってのけたユイの顔を俺はまじまじと見つめた。
今、なんと?
ユイはその表情で察したらしく「だからー」と話しはじめた。