「ユイに神主さんの孫について話したとき、俺は性別について一言も言ってないのに、ユイははっきりと『孫娘』って言ってたから」
『でも仮に、その孫娘さんが私だとしても、どうすることもできないし』
俺は最初から神主夫妻の孫がユイだったら、と願っていたので勝手に女子を想像していた。けれど田島から話を聞いた時点では、性別の情報はなかったし俺も言わなかった。
それなのにユイは違うと言いながら、孫の性別を尋ねる様子も、女子なのかと疑う素振りもなかった。
「ごめんね、シュウくん。シュウくんの言うとおりだよ。私ね、嘘ついてた。覚えていない、分からないって。……本当は全部知ってたのに」
絞り出すようにして呟かれた謝罪に、俺は首を横に振った。謝る必要はない。なんでそんな顔をするんだよ。そんな悲しい表情をさせたくて真実を探っていたわけじゃない。ユイはいつも笑っていたらいいんだ。
けれど、今はそういうわけにもいかない。
「どうして嘘をついたんだ? ユイには帰る場所があるじゃないか。ユイの居場所はここじゃない。ひとりでいなくてもいいんだ!」
シンとした神社に自分の声が響く。体調のせいか足元が覚束ない。俺も浮いていると錯覚しそうになる。ユイは目を閉じると、なにかを決心したように力強く瞼を開いた。
「私は、物心ついたときから縁が見えていたの。それが不思議なことだと思わないほど自然に」
今の状態だから見えると思っていたが、元々そんな力がユイにはあったなんて。しかし『見えること』はユイにとっては不本意なものだったらしい。
ユイはぽつぽつと自分の話をはじめる。
『でも仮に、その孫娘さんが私だとしても、どうすることもできないし』
俺は最初から神主夫妻の孫がユイだったら、と願っていたので勝手に女子を想像していた。けれど田島から話を聞いた時点では、性別の情報はなかったし俺も言わなかった。
それなのにユイは違うと言いながら、孫の性別を尋ねる様子も、女子なのかと疑う素振りもなかった。
「ごめんね、シュウくん。シュウくんの言うとおりだよ。私ね、嘘ついてた。覚えていない、分からないって。……本当は全部知ってたのに」
絞り出すようにして呟かれた謝罪に、俺は首を横に振った。謝る必要はない。なんでそんな顔をするんだよ。そんな悲しい表情をさせたくて真実を探っていたわけじゃない。ユイはいつも笑っていたらいいんだ。
けれど、今はそういうわけにもいかない。
「どうして嘘をついたんだ? ユイには帰る場所があるじゃないか。ユイの居場所はここじゃない。ひとりでいなくてもいいんだ!」
シンとした神社に自分の声が響く。体調のせいか足元が覚束ない。俺も浮いていると錯覚しそうになる。ユイは目を閉じると、なにかを決心したように力強く瞼を開いた。
「私は、物心ついたときから縁が見えていたの。それが不思議なことだと思わないほど自然に」
今の状態だから見えると思っていたが、元々そんな力がユイにはあったなんて。しかし『見えること』はユイにとっては不本意なものだったらしい。
ユイはぽつぽつと自分の話をはじめる。