「で、あんたはいつまでここにいるつもりだ?」

 急いで食事をすませて部屋に戻ると、宣言通り俺のベッドに寝っ転がって、ユイはくつろいでいた。

 部屋に女子がいると思えばなんだか妙な気分だが、ユイに足がないのを見て一気に萎える。

「そりゃもちろん、シュウくんが手伝うって言ってくれるまで! このままじゃ、うちの神社の評判がた落ちだよ!」

 ベッドに座り直したユイが詰め寄ってくるので俺は顔を逸らした。

「元から、がた落ちするほどの評判なんてないだろ」

「そんなことないよ! たしかに古くて小さな神社だけど、ご利益があるってとくに今、若い子の間で評判なんだから。だから最近神社に来るのは、近所のお年寄りたちだけじゃなくて、中高生なんかも増えたんだよ?」

 どこかの囲碁サロンでもあるまいし。なんとも軽いノリに、頭が痛くなる。まぁ、叶える神様がこんな若いのだからしょうがないのかもしれないが。

「そもそも、なんでセーラー服を着てんだ?」

 気になったので尋ねると、ユイは待ってましたと言わんばかりにベッドの上に仁王立ちになってポーズを決めた。今の季節にそぐわず長袖の腕を精一杯広げてみせる。

「いいでしょ? セーラー服、ずっと着てみたかったんだ」

 そこでくるっと回る。本人はモデル気分なのかもしれないが、小柄で素朴な感じのユイは子どもっぽさが否めない。

「それにしても、シュウくんも学生でしょ? 月白神社の話、友達とかに聞かない?」

「聞かない」

「もうー、シュウくんてば友達いないの?」

 俺は眉をしかめた。どうも否定できないからだ。どういう定義で友達というかはおいといて、俺は放課後や休みの日に友人と遊ぶなどした覚えがない。

 なんだかんだで声をかけてくれるやつもいたが、俺が断り続けたというのもあり、次第に距離を置かれて誘われなくなっていた。

 だから、今更誘ってもらっても、どうしていいのか分からず、結局は面倒臭く感じて断ってしまう。