「正信はさ、この四月からボーイズに入ってきたんだ。今小六なんだけど、なんかね年明けに文化ホールでした発表会を見にきて、シュウくんの踊りに感動してバレエを習いはじめたらしいよ」
「はぁ?」
つい大声になってしまったが、周りも十分騒がしかったので特段、気にされたりはなかった。それよりも、告げられた内容だ。
「なんだよ、それ」
「まんまだって。先に妹がバレエを習ってて、それで発表会に来たらしいんだ。そこでシュウくんの踊りを見て、自分もやってみたくなったらしいよ。入ってきたときに、シュウくんが辞めたのを聞いてすごくショックを受けてたけど」
「この前、紹介してやればよかったな」
それで俺をちらちらと見ていたのか。納得すると同時に、なんだかむず痒くなってきた。どこかをくすぐられているような、妙に気恥ずかしい。
正確に言えば、嬉しいんだ。自分という存在が、自分の知らない誰かになにか少しでも影響を与えていたり、行動を起こすきっかけになっていた事実が。
無意味だと決めつけていたものに、こんな分かりやすい形で意味があったと示してくれた。だから、意味がないと自分で判断する方がよっぽど無意味なんだ。
それから久々に三人でたくさん話した。バレエの話題はもちろん、学校のことや、最近はまってる漫画の話など。
バレエを辞めたとき、いろいろなものをなくしたと思った。そうじゃなかった。バレエを辞めた今でも、こうして変わらないものはたくさんあったんだ。
「はぁ?」
つい大声になってしまったが、周りも十分騒がしかったので特段、気にされたりはなかった。それよりも、告げられた内容だ。
「なんだよ、それ」
「まんまだって。先に妹がバレエを習ってて、それで発表会に来たらしいんだ。そこでシュウくんの踊りを見て、自分もやってみたくなったらしいよ。入ってきたときに、シュウくんが辞めたのを聞いてすごくショックを受けてたけど」
「この前、紹介してやればよかったな」
それで俺をちらちらと見ていたのか。納得すると同時に、なんだかむず痒くなってきた。どこかをくすぐられているような、妙に気恥ずかしい。
正確に言えば、嬉しいんだ。自分という存在が、自分の知らない誰かになにか少しでも影響を与えていたり、行動を起こすきっかけになっていた事実が。
無意味だと決めつけていたものに、こんな分かりやすい形で意味があったと示してくれた。だから、意味がないと自分で判断する方がよっぽど無意味なんだ。
それから久々に三人でたくさん話した。バレエの話題はもちろん、学校のことや、最近はまってる漫画の話など。
バレエを辞めたとき、いろいろなものをなくしたと思った。そうじゃなかった。バレエを辞めた今でも、こうして変わらないものはたくさんあったんだ。