日曜日の午後、俺とユイは家の近くにあるショッピングセンターに来ていた。ここのフードコートで憲明と会う約束になったからだ。憲明の家はここから近いので、あまり負担にはならないだろうと思って選んだ。

 週末はいつもかなりの人で賑わっているが、今はお昼時を過ぎたからか、ピーク時に比べれば落ち着いている。
 
 俺はスマホを取り出して時間を確認する。午後二時過ぎ。約束は午後二時半なので、まだしばらく時間があった。

 念のためフードコートでの大まかな位置を憲明にLINEで送って、スマホをわざとらしく耳に当て俺はユイに話しかけた。

「なぁ」

「なに?」

 周りはざわついていて誰も俺たちを気にする人はいない。それでも、極力不自然にならないように電話している(てい)で振る舞う。

「ユイは神社の神主さんに会ったことあるか?」

「神主さん? どうしたの突然?」

 なんの脈絡もない突然の質問に、ユイは不審そうな顔をした。しかしユイの質問に俺がなにも答えずにいると、しばらくしてから「えーっと。どうかなぁ」と記憶を手繰り寄せようとしている。

 そんなユイに俺はさらに続ける。