真冬なのに今日は気温が高く、暖かい。空は冬空だからスカっとは晴れてはいないけれど。
 
 征規が運転する車に春那と三人で乗って、快晴のお墓がある墓地へ向かっている。

「雫も征規も車あるし、便利そうだから私も免許取ろうかなー」
 後部席で先ほど寄ったコンビニで買った肉まんを食べながら春那が言った。

「免許なんかいらないって言ってただろうが」
 ハンドルを握りながら征規が返事をする。

「いらないって思ってたんだけど、デザインした商品を仕入れしたり運んだりするの大変なんだ。いつも車持っている学校の子に頼んでるけど、自分が車を持ってたら楽じゃんって最近思う」

「ネット販売の仕事、順調なのか?」

「全然。でも固定客がついてくれてきてるし、そこからの口コミで買ってくれるお客さんも増えてきた。でもまだまだだよ」

「店舗を持つ夢はまだまだ先ってことか」

「征規はどうなの?スマホのアプリを作るサークルに入ってるよね?」

「この間、企画出したんだよ‼萌え女子を口説いてデートに誘って付き合えたらクリアってゲーム。腐るほどそんなのあるわってことで秒殺で却下された」

「二番煎じどころじゃないじゃん。くだらねーことしてるな。暇かよ。頭使え」

 征規と春那の会話を聞きながら、助手席の私は窓の外の景色を見ている。
 会話に参加しない私を、これから快晴に会いに行く私を気遣って明るい会話をしてくれているのはわかっている。

 墓地って広い土地にあるからか、通ってきた道の付近でも目立つ建物はコンビニくらいしかない。
 後は墓地で使う花や線香が売っていそうな小さな商店が点々とあるくらいだ。冬だからか閉めている店が多い。

「俺は都会が好きなんだよ」
 快晴ならそう言いそう。

 街の中に納骨堂があったりもするけれど、大津家のお墓はここにあるらしいから仕方ないだろう。