「そういえば、良太君。おばあさまはお元気ですか?」

 唐突にルイが話題を変えてきた。違和感を覚えながらも、良太はルイを振り返る。

「はい。昨日会いに行ったけど、すごく元気でした。この店に来て以来、生き生きしてますよ」

「それは良かったです」

 にこりと優美に微笑むルイ。それから沙也加の方を見て、丁寧に付け足す。

「良太君のおばあさまは、近くの老人ホームに入居されてるんですよ」

「あら、そうなの」

「ちなみにご実家は、千葉市内で病院を営まれています。八神病院、ご存じないですか?」

「……八神病院? 知ってるわ。京成線のホームに、大きな看板があるあの病院でしょ?」

 沙也加の声が、ワントーン高くなる。
しばらくの間沈黙したあとで、沙也加は穴が開くほど良太を見つめてきた。