白磁に色鮮やかな花模様が描かれたジノリのグランデューカが、淡い光を放っている。

 ヨーロッパの人々は、自国の美を尊重しながらも、中国の美に憧れた。その結果生まれたのが、シノワズリという風潮だ。

西洋の美と東洋の美が織り成す奇跡の美は、二つの文化が互いを認め合うことによって生まれた。

自分を認めずして、相手を受け入れることはできないのだ。

さくらは直樹が好きだからこそ、自分を好きでいたい。そして、直樹にもそうであってもらいたい。

「直樹、ありがとう……。大好きだよ」

 いつもは恥ずかしくて言えない言葉が、喉の奥から自然とこぼれた。

 直樹ははにかむように笑って、「俺も好きだよ」と小声で呟く。

それから八宝菜を口に掻きこみ、照れを誤魔化すように「うまい!」と大声で言った。

「雰囲気のせいか、すごく高級なもの食べてる気分になるな」

「だよね」