ルイと知り合って良太も初めて知ったことだが、上質な食器が計算しつくされた空間に整然と並ぶ様子は、見ているだけで心に期待を抱かせる。

食欲と感性が一体となって、胸が高揚するのだ。

「食器類は貸し出していますので、お気兼ねなく。いつでも直樹さまとの特別なディナーをご計画ください」

 良太の心配をよそに、ナプキンをあっという間にタケノコのような形に織り上げながら、ルイがさくらに向けて微笑んだ。

 ルイは何を思ってさくらと直樹に話し合いの場を持たせようとしているのだろう?

 真意は読み取れないが、ここはひとつルイを信じてみようと良太は考え直す。

 なぜなら、彼の手によって演出されたシノワズリの食空間には、人の心を引き込むような魅力があったからだ。