「……直樹君、あの日から沙也加さんとLINEしてるみたいなんです。私に内緒で……」
「えっ!?」
「沙也加さんすごくきれいだし、ひょっとしたら直樹君をとられてしまうんじゃないかって、不安なんです……」
俯くさくらを、良太は複雑な思いで見つめていた。
沙也加は、たしかに美人だ。良太には豹以外の何者にも見えないが、世の中の多くの男の視線を引きつけることは間違いないだろう。
異性とLINE交換ぐらい誰でもする。けれども、彼女に内緒でというところが怪しい。自身も男である良太には、下心が全くないとは言い切れなかった。
「……でも、直樹さんは誠実そうに見えましたけど」
真実を知らないし、恋愛相談の模範解答も知らない良太には、こう答えるのが精いっぱいだった。