良太は、改めてさくらに問いかける。

「その。僕、この一週間ずっとさくらさんのことが気になってて……」

「えっ……」

 途端に、青くなるさくら。言い方を激しく間違えたことに気づいて、良太は顔の前で大仰に右手を振ってみせた。

「いえ……! そういう意味じゃなくて、講座のときさくらさん落ち込んでいたように見えたから、食空間演出講座に満足されていないのかなと気になってまして……」

 ルイが作る世界を楽しんでほしかった。

 祖母の一件ですっかりルイの世界に魅せられている自分に、良太は今更のように気づいた。

ところが、さくらの顔はみるみる暗転していく。

「そうですか。精いっぱい明るくつとめていたつもりだったんですけど、やっぱり私、あの場所で浮いて見えるんですね……」

「え? いや、そういうことを伝えたかったわけじゃなくて……」

けれども、良太のおせっかいは、あらぬ方向へとさくらの気持ちを追いやってしまったようだ。

タガが外れたかのように、さくらは心の蟠りを口にし始める。