5 「良太、元気でやってるの?」 午後十一時。良太からの電話に、三コール目で母は出た。 スマホ越しの母の声は、相変わらずはきはきとしている。さすが長年師長を務めているだけあって、ちょっとやそっとのことでは動じない強さがある。 「うん、まあまあ元気」 「ビデオ屋さんのバイト、うまくいってるの? お金は大丈夫?」 「ぼちぼち。家賃が安いから、どうにかなってるってかんじかな」 「そう。それなら、安心したわ」