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「良太、元気でやってるの?」

 午後十一時。良太からの電話に、三コール目で母は出た。

 スマホ越しの母の声は、相変わらずはきはきとしている。さすが長年師長を務めているだけあって、ちょっとやそっとのことでは動じない強さがある。

「うん、まあまあ元気」

「ビデオ屋さんのバイト、うまくいってるの? お金は大丈夫?」

「ぼちぼち。家賃が安いから、どうにかなってるってかんじかな」

「そう。それなら、安心したわ」