ふと視線をやった線路上に、微かに動く白い何かが見える。
はじめは、コンビニのビニール袋が風に揺れているのかと思った。けれどもそれは、明らかに意思を持ってうごめいている。
「白ネズミ……?」
遮断機は、今にも動き出そうとしていた。
気づけば良太は、線路内に飛び込み、ふわふわとしたその得体の知れない動物を抱えて走り出していた。
間一髪、遮断機が完全に降りる前に、どうにか線路を超えて向こう岸に滑り込む。
「キュー、キュー」
良太の腕の中で、謎の動物が短い手足を動かす。小さな耳に、良太を見つめる真っ黒で真ん丸な瞳。真っ白な毛並みはふわふわで、仄かなぬくもりに胸がきゅんと鳴る。
「なに、こいつ。めちゃくちゃカワイイ……」
このまま連れて帰ってしまおうか。そして、ぎゅっと抱きしめて眠りたい。
電車が通過する風を感じながら、遮断機前でそんなことを考えていると、ふいに目の前が陰った。
「危ないところでした。助けてくださりありがとうございます」
ふわふわネズミを抱えたまま、良太は意識を凍らせた。
はじめは、コンビニのビニール袋が風に揺れているのかと思った。けれどもそれは、明らかに意思を持ってうごめいている。
「白ネズミ……?」
遮断機は、今にも動き出そうとしていた。
気づけば良太は、線路内に飛び込み、ふわふわとしたその得体の知れない動物を抱えて走り出していた。
間一髪、遮断機が完全に降りる前に、どうにか線路を超えて向こう岸に滑り込む。
「キュー、キュー」
良太の腕の中で、謎の動物が短い手足を動かす。小さな耳に、良太を見つめる真っ黒で真ん丸な瞳。真っ白な毛並みはふわふわで、仄かなぬくもりに胸がきゅんと鳴る。
「なに、こいつ。めちゃくちゃカワイイ……」
このまま連れて帰ってしまおうか。そして、ぎゅっと抱きしめて眠りたい。
電車が通過する風を感じながら、遮断機前でそんなことを考えていると、ふいに目の前が陰った。
「危ないところでした。助けてくださりありがとうございます」
ふわふわネズミを抱えたまま、良太は意識を凍らせた。