きれいな人は、やっぱり苦手だと良太は思った。

自分のみじめさを、改めて痛感するから。

「そうでしょうか」

 うつむき加減の良太を、説き伏せるようにルイが言った。

「おばあさまにしろ、名も知らない料理人に作ってもらうより、あなたに作ってもらう方がうれしいでしょう。おばあさまの味の好みも、きっと分かっていらっしゃるでしょうから」

 ルイの声音に触発されるように、祖母の笑顔が良太の脳裏に蘇る。

『ふふ、良ちゃんの筑前煮、美味しいものね』

――美味しいものを食べたときの、ばあちゃんの笑顔がもう一度見たい。

心の揺らぎが、伝わったのだろうか。

良太の戸惑いを受け入れるように、ルイが優しく微笑んだ。