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翌日は、レンタルビデオ店のアルバイトが休みだった。

そのため、良太は朝から『ボヌール・ドゥ・マンジェ』で掃除などをして過ごしていた。

夕方。いつもの時間に、ルイが陽菜を連れて学童保育から戻ってきた。

「あ、りょーただ。しろたん抱っこしていい?」

「おかえり、陽菜ちゃん。いいよ、ちょっと待っててね」

 ケージを開け、「しろたん」と声を掛ければ、うつらうつらしていたしろたんの黒い瞳が姿を現す。

良太に気づくなりカサカサと寄ってきた彼女を両手でふわりと抱き、外に連れ出した。

「しろたん、ただいま。今日もかわいいね!」

 陽菜がしろたんを抱きしめれば、しろたんは気持ちよさげに小さく「キュー」と鳴いた。

その様子に、カウンターの向こうからルイが密かに視線を走らせている。うらやましくて仕方がないのだろう。

 チリンチリン、と裏口の呼び鈴が鳴った。また、宅配便のようだ。

「ルイさん、僕出て来ますね!」

 手短に告げ、陽菜にしろたんを抱かせたまま、良太は裏口へと急いだ。

 裏口は、厨房を抜け階段を登った先になる。最近になって知ったのだけれど、裏口のある一階は倉庫、二・三階は桐ケ谷氏とルイの居住スペースになっているようだ。

ただし居住スペースは店内からは通じておらず、店の裏手にある階段を登らなければ行くことができない。

「お届け物です、サインか印鑑をお願いします」