「……しろたんに、私はそんなに嫌われていますでしょうか?」
由美が陽菜を連れて帰ったあと、扉が閉まるなりルイが平たい声で言った。
良太は、はっと我に返る。
「いえ、今のは言葉のアヤというか……」
小指の先に絆創膏が貼られているところを見ると、どうやらしろたんにまた噛まれたのだろう。ルイとしろたんの関係は、彼の前では禁句なのだ。
「そういえばルイさん、昨日斉木さんに相談されたんですけど……」
誤魔化しついでに、良太は由美の相談を持ちかけることにした。
「陽菜ちゃん、夕食を食べるときと食べないときで、すごく差があるそうなんです。食べない日は、大好きな料理でも、本当に何ひとつ食べないらしくて。食空間演出で対処できないかって、斉木さん言ってました」
「……食べる日と食べない日、ムラが激しいということですか?」