「当店は、お客様の『美味しい』をサポートする、食空間演出の専門店となっております」

ルイが、『ボヌール・ドゥ・マンジェ』のあらましについて、分かりやすく由美に説明した。

「なるほど。へえ~、こんなお店があるのねえ」

 ひと通り聞き終えた由美が、興味津々といった様子で声を出す。

 そして、気持ち声音をおさえ、ルイに問いかけた。

「食空間演出というのは、例えば過食や食欲不振を治すこともできるんですか?」

「心理的なものが原因であれば、可能なケースもあります」

「へえ~。セラピーみたいねえ」

 大仰に、感嘆の声を漏らす由美。

そんな由美からカウンターを挟んで、陽菜はしろたんにひまわりの種をあげている最中だった。

「ちゃんと手で持って食べてる! かわいい~!」

 ひまわりの種を小さな両手で大事そうに持ち、前歯でパリポリパリポリと噛み砕いているしろたんに、陽菜はメロメロになっていた。

「もう一個あげていい?」