「ホストとホステス、すなわちパーティーの主催者の位置ですよ。アフターヌーンティーにおいて、ホスト及びホステスは、サイドテーブルのすぐそばが席と決まっています」
「どうしてですか?」
「紅茶やお菓子を、ゲストに振る舞いやすいからですよ。もっとも今回のパーティーには給仕がいますので、そんな配慮は無用だったのですが、格式高い婚約発表の場ということで、席次は古くからの慣例通りに決めさせていただきました」
今回におけるホストとホステスとは、おそらく獅子倉氏と綾乃だろう。
婚約している綾乃と敬太郎の席を離すのもおかしいから、敬太郎もホストのひとりと考えていいかもしれない。
マイセンカップが割れた時の状況を思い出し、良太は「あ!」と声を上げた。
「そういえば、綾乃さんは会場の真ん中に座っていましたね!」
「そうなのです。けれど、獅子倉様の席はそのままでした。つまり、綾乃様と敬太郎様の席だけが、直前で変わっていたのです。獅子倉様は席につかずお客様と話し込まれていたので、お気づきになられていなかったようですが」
「そんなこと、いったい何のために……」
良太が唸れば、ルイは「おそらく」とゆっくり瞬きをした。
ダークグレーの瞳に、淡い炎が宿る。
「どうしてですか?」
「紅茶やお菓子を、ゲストに振る舞いやすいからですよ。もっとも今回のパーティーには給仕がいますので、そんな配慮は無用だったのですが、格式高い婚約発表の場ということで、席次は古くからの慣例通りに決めさせていただきました」
今回におけるホストとホステスとは、おそらく獅子倉氏と綾乃だろう。
婚約している綾乃と敬太郎の席を離すのもおかしいから、敬太郎もホストのひとりと考えていいかもしれない。
マイセンカップが割れた時の状況を思い出し、良太は「あ!」と声を上げた。
「そういえば、綾乃さんは会場の真ん中に座っていましたね!」
「そうなのです。けれど、獅子倉様の席はそのままでした。つまり、綾乃様と敬太郎様の席だけが、直前で変わっていたのです。獅子倉様は席につかずお客様と話し込まれていたので、お気づきになられていなかったようですが」
「そんなこと、いったい何のために……」
良太が唸れば、ルイは「おそらく」とゆっくり瞬きをした。
ダークグレーの瞳に、淡い炎が宿る。