「はぁっ!?東洋に行くって……あなたは、
何を考えているんですか。ルチア様!?」
執事のジョンに話したら凄い剣幕で怒ってきた。
まぁ……当然だろう。
敵地である東洋に行くとなると危険だ。
命にも関わることだ。
「大丈夫だって。ちょっと顔を見せて
話し合いをしてくるだけだし」
「ちょっとの問題じゃありません。
一国の国王が、他の……しかも命を狙ってきた
東洋の国に行くなんて危険ですよ!?
それこそ自殺行為じゃないですか!!」
ジョンがそう言ってきたが確かに自殺行為だろう。
また命を狙われるかもしれない。それに東洋の人は、
異国の陛下を受け入れてくれるか分からない。
陛下の気遣いは、嬉しかったけど
やっぱり無理なのかなぁ……。しかしお気楽な
陛下は、荷造りを始めていた。
「大丈夫、大丈夫。アイツとの引き渡しだし
それにアイリスもそばに居るんだ。捜していた
孫娘に危険な目に遭わせたりしないだろう」
「そんなの信用が出来ますか!!
あなたを殺してアイリスを奪い取るかも知れません。
とにかく危険です。反対ですからね」
「さて、お土産。何を買おうかなぁ~?」
「ルチア様。聞いているんですか!?」
ジョンの雷が落ちる。
しかし陛下は、まったく知らん顔だ。
着々と準備をしていた。元々国王陛下の好奇心は、
誰も止めることが出来ない。
ダメだと言われても懲りずに街に出て行くぐらいだし。
私は、どうしたらいいか分からなかった。
本当は、私も行きたいと思っている。
怖いけど、祖父に会えると思うと何だか嬉しかった。
リュウ様も親族だけどまた違った感じで親近感が湧く。
連れて行かれると思った時は、あんなに
嫌だと思ったのに不思議だ。
すると、しばらくしてその噂を聞いた
リュウ様が一緒に同行したいと言ってきた。
「えっ?一緒に行きたい!?」
「あぁ、俺も東洋の国を旅行で
行ったことがあるから多少なら案内が出来るよ。
それに可愛い義妹が危ないことをするなら
心配だからね」
ウィンクをしながらそう言ってくれた。
リュウ様……。