「ルチアーノ国王陛下。動かないで!!
下手に動いたらアイリスを殺すわ。
フフッ……馬鹿な男。ずっと騙されていたなんて」

陛下は、慌てて止めようとしたが
ミアは、可笑しそうに笑った。
すると陛下は、悲しそうにミアを見つめた。

「知っていたさ。ミアが本当は、
偵察に来た裏切り者だったことは」

「な、何ですって!?」

陛下の言葉に驚くミア。もちろん私も驚いた。
陛下は、すでに気づいていたと言うの!?

「ミア・スーザンって名は、我が国には1人も居ない。それにお前がこっそり国内の情報を探っていることも
すでに調べがついている」

「嘘っ……じゃあ何故捕まえなかったのよ!?
裏切り者だと分かっていて」

「まだ何処の裏切り者か分からなかったし
気づいた時には、アイリスと仲良くなっていた。
城に来てから孤立していたアイリスにとって
いい友人だったからな。
いらん波風を立てたくなかった。それに
アイリスに向ける笑顔は、俺には本物に見えた。
本当は、任務を忘れるぐらいアイリスと居る生活は、
楽しかったんじゃないのか?」

国王陛下の言葉にピクッと反応をするミアは、
そのまま黙り込んでしまった。
ミア……?
私は、動揺しながらも彼女を見た。すると、

「うるさい。お前に私の何が分かると言うのよ!?
私は、東洋の忍びよ!!
全ては、伊賀のため。影近様のためだ」

泣きそうな表情で、そう訴えてきた。
ミア……私には、分かる。
彼女は、やはり影近の事が好きなのだと。

「ミア。もしかして影近の事が好きなの?」

「なっ……何を言っているのよ!?
影近様は、私らのリーダーよ。そんな訳……」

耳まで赤くしていた。やはりそうだ!
彼女の表情で確信する。
好きだからこそ……力になりたいんだ!

「誤魔化さないで。私には、分かる。
私も相手が違うけど同じ立場だから」