ゾクッと肌で感じた。
この男は、近づいたら危険だと……。
どうする?どうやって逃げ切る……!?
「フッ……俺は、お前の足止め係だ。
今頃、ルチアーノ国王陛下は、仲間に囲まれているだろうな」
な、なんですって!?
コイツら私と陛下を引き剥がすために
わざと私に近付いてきたのか!?
だとしたら国王陛下の命が危ない!!
私は、慌てて部屋を出ようとしたが影近に邪魔をされる。
「邪魔だ。どけ!!」
「そうは、させない。言っただろう?
俺は、あんたの足止め係だと。
それに俺は、個人的にあんたに興味がある」
そう言うとジャラッと赤い石のペンダントを
私に見せてきた。あれは、私のペンダント!?
首のところを触ってみても大事につけていたはずの
ペンダントがいつの間にか消えていた。
「いつの間に!?」
「忍びは、これぐらい抜き取ることなんて
朝飯前だぜ。なるほどな。
慎が忍びの才能を持つメイドが居ると
聞いていたが……ただのメイドじゃないってことか。
まさか、俺達が捜していた紅葉叔母様の
娘だったとは……」
赤い石のペンダントを眺めながらニヤリと笑う影近。
紅葉……?誰よ……それ!?
しかも娘とか意味を分からないことを言ってきた。
「ちょっと勝手な事を言わないでよ!?
誰が紅葉の娘だって言うのよ?」
聞いたこともない名だ。
しかし影近って男は、ペンダントを見せながら
衝撃なことを口に出してきた。
「この赤い石のペンダントは、紅葉叔母様が
よく身に付けていたモノだ。
その証拠に伊賀の家紋が彫ってあるだろう」
伊賀の家紋!?
じゃあ、あの見たこともない変わった字は、
東洋の字だと言うの?
私の母親は、東洋の……人間。
意外な真実に心臓がドクンッと大きく高鳴った。
「嘘よ!?どうして
東洋の忍びがギルス大国に……?」