「そんな身勝手な理由があるか!?
質問の答えになっていないじゃないか?」
「いいえ。彼の中では、なっているのよ。
陛下は、そう言う人よ。自分勝手なところもあるけど
思いやりのある優しいお方なの」
だから私は、陛下に惹かれたのかもしれない。
改めてそう実感した。
偽者は、呆れながらもハァッ……とため息を吐いた。
「まさか、国王陛下にまんまとやられるとはな」
私もまさか陛下の自由奔放の性格に
助けられるとは、思わなかった。
思いがけない行動をするだけに……。
「……で、あなたは、忍の者だな?」
私は、気を取り直して偽者に質問をする。
とにかく、こいつを倒さないと陛下をお守りできない。
すると偽者は、くくっと可笑しそうに笑うと
一瞬で服を脱いで正体を明かした。
私が倒し損ねた忍びではない。
しかし、年は…少し上か陛下ぐらいだろうか。
前髪の長い黒髪と黒い服を着た
かなりのイケメンだった。口元は隠しているが。
「俺の名は、服部影近。
東洋の忍びだ。お前と会うのは、二度目だな」
二度目……?
私は、ハッと気づいた。
もしかしてリュウ様になりすまして
私に近付いてきた忍び!?
「あなた、あの時の!?」
「あの時は、いいところで邪魔が入ったからな。
今回は、国王陛下にまんまとやられたが」
影近という忍びは、そう言うとニヤリと笑った。
ビクッと肩が震えた。
コイツ……何を考えているのだろうか。
「私に何の用で近づいた!?」