「隠しても無駄だ。そんな悲しそうな顔をして
一体、何があったんだ?」

「別に何もありません。ただ……私は、騎士なので。
騎士としてこの格好が1番落ち着きます。
だから着替えを……」

そう言おうとしたら陛下は、私の唇を塞いできた。
強引にキスをされてしまった。
陛下は、そのまま私をベッドに押し倒してきた。
ちょっ……陛下!?

こんな時に私を抱こうと言うの?
信じられない……。
自分勝手な陛下に腹が立ってきた。

「ちょっと……ルチア様!?」

「騎士だろうが、ドレスだろうが、もう
どうでもいい……アイリス。
お前が俺のモノであれば、それでいい」

嫌がる私にそう言ってくる陛下だった。
えっ……?今なんて……?
強引に続けようとしてくる陛下に私は、
こんな質問をしてみた。

「ルチア様。もし……川で私と
子猫が溺れていたら、どちらを助けますか?」

「はぁっ?何でそんな質問をしてくるんだ?
そんなのアイリスに決まっているじゃないか。
それよりも……何故これをお前が……!?」

何かに気づいて驚いた表情をしてきた。
だがチャンス!!
私は、気づかれないように太ももの短剣を外すと
隙を見て陛下に切りつけた。だが、しかし
咄嗟のところでベッドから飛びおりて
避けられてしまった。チッ……外したか!?

「何をするんだ?アイリス」

陛下は……いや。
この男は、陛下ではない!!

「貴様。忍の者だな!?
その完璧な変装に身のこなしは……」

私は、すぐに偽者だと気づいた。
はだけた服を気にすることなく短剣を構えた。
すると陛下の偽者は、クスッと笑いだした。

「何故、俺が国王陛下じゃないと分かった?
俺の変装は、完璧だったはずだが」