ハァッ……とため息混じりに話している大臣達に
私は、唖然としていた。今回のパーティーには、
そんな暗黙な目的があったの!?
陛下に……花嫁。
「そのためには、ルチア様から
あのメイドを引き剥がさないと……」
陛下から私を引き剥がさそうとしている……!?
私は、怖くなって慌てて寝室に戻った。
部屋に入りドアを閉めるとそのまま座り込んでしまった。
そんな…陛下に花嫁だなんて!?
私は、いくら望んでも花嫁の資格が無いのは、
前から分かっていたことだ。地位も名誉もなく
孤児院育ちの私が妃に相応しくない。
そんなの分かっているはずなのに……。
涙が溢れて止まらなかった。
しばらく泣いた後。私は、涙を拭うと
ドレスを脱いで騎士の服に着替えた。
鏡を見ると涙で目が赤くなっていた。
なんて不細工な顔なのだろうか。
華やかで綺麗なお姫様とは、似ても似つかない。
それが余計に悲しかった。
胸がギュッと締め付けられそうになりながら
私は、大ホールに戻ろうとした。
するとコンコンとノックの音が聞こえてきた。
誰かが来たようだった。
もしかして陛下だろうか?
ありえる。勝手に抜け出してきたし
捜しに来てくれたのかも……。
そう思い開けようとした。しかし一瞬戸惑った。
さっきの大臣達の話が引っかかったからだ。
あんなにたくさんの姫君達に囲まれていて
本当に私を捜しに来てくれたのだろうか?
その中に凄く素敵なお姫様が居たら
陛下だって惹かれるんじゃあ……?
そう思うと身体が震えてドアが開けられなかった。
「アイリス?アイリス。
そこに居るんじゃないのか?開けるぞ」
陛下の声がしたと思ったらドアを開けられてしまった。
やっぱり陛下だった。
さっきのことを考えてしまうと何だか気まずい。
「ルチア様……」
「途中で居なくなったから捜したぞ。
どうしたんだ?泣いていたのか?」
陛下は、そう言うと私の目を手で拭ってくれた。
ドキッと心臓が高鳴るが
すぐに胸が締め付けられそうになった。
「何でもありません。すぐに戻りますので……」
涙を理由を知られてはならない。
花嫁の話や私を引き離そうとしていることを
陛下に知られたくないと思ったから。
すると陛下は、ギュッと私を抱き締めてきた。