アッサリと陛下は、凄い事を言ってきた。
はぁっ?住人の女性は、認識しているって
どれだけ記憶力がいいのよ!?

我が国の女性だって何千人も居るのに。
それに女性限定って……。
片寄った記憶力に唖然としてしまった。

「はぁっ?何で女性ばかり覚えているのですか!?
それに、じゃあ騙されたと分かっていて
罠に嵌まったんですか?」

「男は、覚えてもつまらないから
覚えていないが……俺の命を狙う奴が居るのなら
一度顔を見たくなってな。
お前らの頭は、誰だ?誰かに頼まれたんだろ?」

驚いて聞き返す私と違い陛下は、
ギロッとお頭らしき男を睨み付けた。
えぇっ!?どちらにしても驚いた私は、その男を見た。
するとお頭の男は、ククッと笑いだした。

「なるほど。確かに他の国からも
一目置かれているだけはあるな。一筋縄ではないようだ。
だが教える訳がないだろう。どうせ
お前らは、今ここで死ぬのだからな」

何十人の盗賊達は、一斉に武器を構えた。
どうやら生きて帰す気はないらしい。
私は、呆れてため息を吐いた。

「あぁ、だから言ったのに。
一度お城に戻った方がいいって」

私は、慌ててウェストポーチから
何本の短剣を出して構えた。
何とかして陛下だけは、守らないと。
しかし陛下は、まだ笑っていた。

「アイリス。俺が何もしないで
ただほっつき歩いていると思ったか?」

えっ……?

「どういうことですか?」

「ここに来る前に街の住人にお城に助けを呼ぶようにとすでに頼んでおいた。つまり今頃ジョンに報告が行き
こちらに助けに向かっているはずだ!」

陛下は、得意気にニヤリと笑った。
い、いつの間に!?

「何だと!?」