私は、頭を下げると短剣をしまった。
すると国王陛下の後ろに隠れていた女性は、
慌てて頭を下げてきた。
「国王様だと知らずに申し訳ありませんでした。
あの……助けて下さりありがとうございました」
「怪我はないか?」
「はい。あの……失礼を承知で言います。
妹を助けて下さい!!」
……はい?
助けた女性は、突然国王陛下に妹を助けて欲しいと
求めてきた。妹とはどういうことだろうか?
「どういうことだい?
詳しく説明をしてくれ」
国王陛下は、そう言うとその女性は、
言いにくそうに話始めた。
「実は、妹と木の実や薬草を取りに山に登ったのですが
あの盗賊達に遭遇してしまって。
私と妹は、必死に逃げたのですが、妹だけ
捕まってしまいました。私は、何とか
逃げ切れたのですが……このままだと
妹の身が危険です。お願いです。助けて下さい」
なんてことだ!?この女性には、妹が居て
盗賊に襲われたなんて……。
助けてあげたいが、しかし今の状況だと
陛下を城に連れ戻さないといけないし……。
私は、躊躇していると
「それは、心細くて大変だっただろう。
俺に任せておけ。今すぐにでも助けてやる」
……はい!?
国王陛下は、凄い事をさらりと言ってきたた。
ちょっと陛下!!あんた自分がどの立場か
分かって言っているのですか!?
あなたに何かが遭った方が国として大問題なんですけど
さっさと行こうとするので私は、慌てて追いかけた。
何度も説得をしても国王陛下は、行くとしか
言わなかった。それどころか
一緒に行くはめになってしまった。
結局女性に案内をされて山奥に連れて行かれる。
「あの……この辺です」
しかし誰も居なかった。
もしかして、もう移動を始めてしまったのだろうか?
すると何処からか殺気混じりの気配がした。
いや、近くに居る!!