「お前ら、何奴だ!?」

私がそう言うと盗賊達は、こちらに剣を向けて
「その女をこちらに渡せ」と言ってきた。

そんな危ない奴に渡す訳がないでしょ!!
どうやら話を聞く気ないらしい。
この女性が何故追われているのか分からないが
ただ事ではないようだ。

「断る。そもそも無礼ではないか。
このお方は……」

そう言いかけるが、言う前に襲いかかってきた。 
ちょっと人の話を最後まで聞きなさいよ!!
私は、チッと舌打ちをすると
すぐさま太ももにつけている短剣を取り出した。
その1本を相手に向かって投げた。頬をかすれる。
しかしその瞬間だった。

私は、短剣と同じぐらいの速さで
次の短剣を2本取り出すと両手で持ち
2人を切りつけた。ほんの数秒の速さだった。
ドサッと切られた2人は、倒れ込んだ。
残りは、1人。

「き、貴様。何者だ!?」

「私は、国王陛下に使える騎士。
貴様。このお方を……国王陛下だと知っていて
剣を向けているのか?」

「国王……陛下だと!?
くそっ……覚えていろよ!!」

盗賊は、驚いた表情をしていた。
すると慌てたように逃げて行ってしまった。
私は、すぐに捕まえようとするが陛下が

「アイリス。いい、放っておけ」と
止めるように言ってきた。

「何故ですか?」

「無駄な戦いはしなくてもいい。騒ぎになる。
それに逆に我々が出入りをしていると知れば
この街に下手に近付かんだろう」

陛下……。なるほど確かに。
この人は、優しく寛大なお方だ。

「承知しました」