僕に変調の兆しが現れたのは、16の時だった。

 自分達がひとと違うのは解っていた。
 (みどり)色の眸をした少年の姿のままの父。
 最年長に見える無月は30代前半、支癸が20代後半、遊佐も20代半ばくらいで、記憶にある限り誰も、老いていない。
 髪や爪が伸びたり、代謝機能は普通の人間と変わりないのに、容姿はそのまま。いずれ自分もそうなるんだろうと、子供の頃から漠然とした思いがあった。

 ただ父達と違ったのは。
 人間である母の遺伝子が交じったゆえか、常にひとの精気が不可欠なこと。
 本能のままに相手の精を喰らい尽くせば死に至らしめる程、・・・危険な存在であること。

 僕がそのことを身を以って思い知った時、ひなせには絶対に同じ轍を踏ませないと誓った。

 すべての始まりはそこからだった。