僕に変調の兆しが現れたのは16の時だった。自分達が他人と違うのは解っていた。
翠色の眸をした、少年の姿のままの父。最年長に見える無月は30代前半、支癸が20代後半、遊佐も20代半ばくらいで、記憶にある限り誰も老いていない。
髪や爪が伸びたり、代謝機能は普通の人間と変わりないのに容姿はそのまま。いずれ自分もそうなるんだろうと、子供の頃から漠然とした思いがあった。
ただ父達と違ったのは、人間である母の遺伝子が交じったゆえか、常にひとの精気が不可欠なこと。本能のままに相手の精を喰らい尽くせば死に至らしめる程、・・・危険な存在であること。
僕がそのことを身を以って思い知った時、ひなせには絶対に同じ轍を踏ませないと誓った。すべての始まりはそこからだった。
やがて変調が訪れ、ひなせは衰弱状態に陥った。足りない精気を欲して無月達から吸い上げたそれは、弱った彼女には少し毒だった。
僕は正気を取り戻すまで幾度も、彼女の中に精気を放った。初めは戸惑っていたひなせも、与え合えるのは互いしかないことを躰で感じたようだった。次第に欲情の波にただ躰を委ねるように、本能のままに欲しがり続けた。
その日から僕たちは変わった。躰が水分を欲しがるようにひなせは僕を求める。でもきっと溺れてるのは僕だ。
中で存分に果てても、ずっと繋がっていられるひなせの躰。死なせないように加減しながら吸い上げる精の相手なんて、もう僕には何の価値もない。たとえ命を奪ってしまったとしても、何の感情も湧かないほどに。
翠色の眸をした、少年の姿のままの父。最年長に見える無月は30代前半、支癸が20代後半、遊佐も20代半ばくらいで、記憶にある限り誰も老いていない。
髪や爪が伸びたり、代謝機能は普通の人間と変わりないのに容姿はそのまま。いずれ自分もそうなるんだろうと、子供の頃から漠然とした思いがあった。
ただ父達と違ったのは、人間である母の遺伝子が交じったゆえか、常にひとの精気が不可欠なこと。本能のままに相手の精を喰らい尽くせば死に至らしめる程、・・・危険な存在であること。
僕がそのことを身を以って思い知った時、ひなせには絶対に同じ轍を踏ませないと誓った。すべての始まりはそこからだった。
やがて変調が訪れ、ひなせは衰弱状態に陥った。足りない精気を欲して無月達から吸い上げたそれは、弱った彼女には少し毒だった。
僕は正気を取り戻すまで幾度も、彼女の中に精気を放った。初めは戸惑っていたひなせも、与え合えるのは互いしかないことを躰で感じたようだった。次第に欲情の波にただ躰を委ねるように、本能のままに欲しがり続けた。
その日から僕たちは変わった。躰が水分を欲しがるようにひなせは僕を求める。でもきっと溺れてるのは僕だ。
中で存分に果てても、ずっと繋がっていられるひなせの躰。死なせないように加減しながら吸い上げる精の相手なんて、もう僕には何の価値もない。たとえ命を奪ってしまったとしても、何の感情も湧かないほどに。


