僕の腕の中で、ひなせが喘ぐ。

 僕たちは互いの精気を奪って与えあう。躰をひとつに繋げ、それが満ちるまで。


「ゆい・・・っ、アァッ、あっ・・・っ」

 ひなせを後ろから貫きながら、僕もこれ以上は堪えられない。
 次第に激しくなる動きに、彼女のすすりなくような悲鳴も切れ切れになる。
 押し上がってくる本能の波に二人とも達し、そして果てた。
 
 荒かった呼吸も次第に落ち着き、ひなせも僕も充足した疲労感の中、とろとろと微睡む。
 躰を繋げた後に、こんな余韻に浸れるのは彼女以外ない。
 ひなせ以外はただの摂食行為に過ぎないのだから。

「・・・やっぱり由伊がいちばん気持ちいい・・・」

 倖せそうにはにかんで、ひなせは僕の胸元に頬を寄せた。
 柔らかな感触が素肌に心地いい。少し茶色がかったその髪を撫でてあげると、目を閉じてされるがままになっている。

 兄妹だという事よりも、この世界にふたりと同じものは他に存在しないことが、僕達をさらに深めていく。
 今はまだ躰の安定しないひなせは自分に惑って、でも精気を欲する欲望にも抗えない。

 だから僕は躰から絡め取っていく。
 ひなせが僕から離れられないように、躰の全部を。
 感じやすいところをなぶり、侵し、何度でも貫いて。
 他の誰がひなせを抱いても絶対に戻ってくるように。

 ・・・愛だとか。そんな言葉ですらない。
 この、狂気のような僕のおもいは。