昔から無月は優しくて、でも決してあたしを甘やかしはしない。支癸は強くてちょっとがさつで、でも一番あたしに弱い。
多分、誰よりあたしをただの女にしてくれるのは遊佐。壊れたいあたしを壊れないように壊す。理性のかけらを奪い尽くされて、あたしはただの人形になる。自分が何者なのかを考える事もなく、ただの人形でいられる。
「・・・ほらっ、オレのぜんぶ、持ってけ、お嬢・・・っっ」
二人で昇り詰め、あたしは中に放たれた精気を残らず吸い上げて恍惚とする。
終わるといつも遊佐はあたしをベッドに沈めたままキスを繰り返す。両手であたしの顔を挟み込むようにして、啄むようにしたり、深く舌を絡めたり。
そして最後に必ず抱きしめてささやく。他の誰も決して言わない、その言葉をあたしはいつも遠く聴く。
「・・・あいしてるよお嬢」


