倭人と秘密の関係を続けながら、今夜も由伊の腕の中。

「ゆい・・・っ、も、・・・やっ・・・」

あたしは自分では何もコントロール出来ない。刺激を与え続けられる躰の真ん中が、まるで自分の全てのような。そこにしか自分が無いような。

そしてどんどん押し寄せてくる波。波。波。一瞬でスパークして力が抜け落ちる。荒い呼吸を繰り返し、シーツの波間に沈むあたしに寄り添うようにして、由伊は、満足できた?と小さく笑んだ。

「・・・うん・・・。由伊が一番いい・・・」

遊佐なら余韻も与えずに、そのまま続けるのに。由伊はいつだってあたしに優しい。

落ち着いてきたあたしを抱き寄せるようにして、由伊が心配げな眼差しを落とした。

「この間は大丈夫だったの?・・・あの人」 

「・・・次の日ちょっと疲れてそうだったけどね、加減はできたから」

あたしはうつろに笑う。

あのひと、とは階堂倭人のことで、彼を殺しはしなかったか。由伊が訊きたかったのはそういう事だ。

「・・・彼を好き?」

「・・・かな」

殺したくなかったから加減できてるのか、それもよくは判らないけれど。思うより続いた。最初は消耗品のようなつもりだったのに。

「でもひなせを一番わかってるのは・・・僕だよ」

「・・・知ってる。おにいちゃんだもん」

由伊とあたしはこの世界に生み落とされた、たったふたり。ひとであって、ひとでは無いもの。

あたしを救えるのは由伊だけ。由伊がひとつになれるのは、あたしだけ。