あるとき。娘が恋をしたのは、ひとであってひとでは無い者でした。
少年の姿をした翡翠色の眸の王子様に娘は心奪われ、やがて二人は結ばれました。
はじめは男の子。次に女の子。生まれた子供はすくすくと育ちましたが、母となった娘は命を燃やし尽くして、永遠の眠りについたのです。
遺されたふたりの子は、少年の姿のままの父と三人の臣下の手で大事に育てられました。
十年、十五年、子供達は他の子と同じように大きくなっていき、けれど。
人とも、おとうさん達とも少しずつ違うふたりは、世界にたったふたりだけでした。
だれも、代わりにはなれませんでした。