「おっ、こいつペルリじゃないのか? でっかい船四隻で日本に来た親父だろ。小さい頃父ちゃんと見に行ったぞ」


 葵はそう言いながら、教科書に載っている一枚の写真を指さした。江戸時代のページだ。黒船来航の説明が書かれてあり、マシュー・ペリーの写真が載っている。

 慌てて自分のノートを開いた。先生の余談を確かそこに記してあったはずだ。
 『ペリーの来航当時の文書には「彼理(ぺるり)」と記されていた。』確かにそう書いてある。


 「ああ、これより前なら、ババに聞くといいんじゃないか? 京のほうなら、ろくろ首が詳しいだろ」


 よし行くぞ、と私の手を引いて立ち上がらせた葵に、呆気にとられながらついていく。


 「葵……一体何歳なの?」

 「さあ? んなの、いちいち覚えてない」