すたんと仕舞った障子をぼんやりと眺め、ひとつ溜息をこぼす。

 三門さん、本当はどう思っているんだろう。三門さんは優しい人だから、反対していても私の意思を尊重して口には出さないんだろう。それに、いざ面と向かって聞いた時に「反対だ」と言われてしまうのが怖くて、あと一歩を踏み出せないでいる。

 自分の情けなさに、もう一度深い溜息を零した。


 その時、ガタガタガタッ────と、突然窓ガラスが激しく揺れて悲鳴を上げて飛び上がった。弾けるように振り返ると、鍵の閉められた窓ガラスに人影が写っている。磨りガラスになっているため、誰なのかは分からない。また激しく窓が鳴る。どうやら無理やり窓を開けようとしているらしい。

 恐怖に声も出なくなって、震える膝で畳の上を這って箪笥の陰に隠れた。


 「ああっ、なんであかないんだよ! そもそも、三門が普通に入れていてくれれば……『邪魔するから駄目』とか言いやがって。んなことしないし!」