私はすぐに家へと戻り使用人達に説明した。
 姉が魅了持ちだった事、使用人達もかかっている可能性がある、と言う事、我が家は姉を隠蔽していた罪で取り潰しになる事を伝えた。
 勿論、みんな動揺していて私の話を信じられない顔をしていたが、その直後にお城の騎士がやって来て私に城に来るように、との王命が来た。
 全く、落ち着く暇もなく私はお城へと向かった。
 お城にやって来た私は一室に通され待っていると宰相様が入って来た。
「すまないね、国王様の代わりに私が対応させてもらう事になった」
「いえ、謝らなければならないのは私の方です」
「君が謝る必要はないだろう。どちらかと言えば被害者だと私は思うがね」
 机の上に書類が出された。
「正式な処分はまだだがマージル家の取り潰しは免れない、マージル家の土地や財産は王族管理となる」
「そうですか……」
 覚悟はしていた、やっぱりこうなるんだろうなぁ、て。
「マージル家で雇っていた使用人達は検査の後、別の貴族に雇ってもらえるように手配をしている」
「ありがとうございます」
「彼等も被害者だからね、勿論検査の結果次第だが君にも検査を受けてもらう事になる」
「勿論お受けいたします」
「それと、これは魅了持ちを報告してくれた礼として君に報奨金が出る事になっている」
「私にですか?」
「これは法律で決まっている事だし、公爵様が『家の娘が不幸にならずに済んだ!』と大変お喜びになっていたよ」
「ん? 不幸にならずに済んだ、と言う事は王太子様との婚約は続行になったんですか?」
「……王太子様は廃嫡される事になったよ。思っていたより重傷でね、国王様も苦渋の決断を下したよ。公には『急病』と発表されるがね」
 マジですか……。
 魅了の力、恐るべし。
「それじゃあ婚約は当然白紙と言う事になるんですか?」
「いや、第2王子が新たな王太子なられるから婚約は続行となる。あくまで『王太子』との婚約だからね」
 要は顔だけ変える、と言う事か。
 うん、やっぱり貴族社会は怖い。