豆吉の件をあっさり解決し、志麻の頑なな心を溶かした彩葉はさすがだった。

彼女が志麻に『罰を与えてください』と言いに来たときは目を丸くしたが、俺が知る限り一番優しくて温かい罰だった。

そんな志麻が彩葉の期待通り、もう一度やり直すと決めて俺に改めて謝罪に来たとき『彩葉さまのおかげです』と盛んに言っているのを聞き、鼻が高い思いだった。


彩葉が部屋を訪ねてきたとき、志麻が旅立つ喜びを伝えに来ただけだと思っていた。
それなのに幽世に残ると言いだしたときは、正直顎が外れそうだった。

彩葉がここにやってきてから、勘介も和花も異常なほどにテンションが高く、勘介に至っては下手な鼻歌まで歌っているのでうっとおしくてたまらない。

しかし、鬼童丸までも笑顔が増えたし、和花の料理も上達した。
まあ、約一名不機嫌なヤツはいるが事情が事情なので除外しておく。

なにより、俺の心が穏やかだ。