「とんでもないこととは?」
「俺……まだご祈祷を願い出る資格なんてなかった」
梶が下唇を噛む。
「資格とはどういう意味でしょう?」
「言葉どおりだ。小町ちゃんを幸せにできないのに縁を結んでもらおうなんて……俺は、何ておこがましい願いをしたんだろう」
自分を諫めるように梶はギリギリと下唇を噛み続ける。
「幸せにできない? どうしてそう思われるのですか?」
「当然だろう? 俺にはまだ借金がある。それに……農場っていうのは自然を相手にしているような職業だ。いつまた天災に遭うか分からない。そんな男の嫁になってくれだなんて……」
モニター越しに、今頃気付くとは馬鹿な奴だ、と縁が鼻で笑うと、おバカになるのが恋です、とカイが眼鏡のテンプルをキリリと上げる。それに同意するかのようにハクがコクコク頷くと、お前は恋が何なのか知っているのか、と縁がハクを睨んだ。
「なるほど……だから資格が無い、ということですか?」
「ああ、そういうことだ」
「ですが、大変申し訳ありません。願いは反故できません」
結はお馴染みの台詞を言い、頭を下げる。
「神への願いはキャンセルが利かないのです」
「だとしたら、俺はどうすれば……」
「結果はどうあれ、突き進むしか有りません」
結には梶の本当の気持ちが視えていた。そして、梶の言葉全てが言い訳だということも分かっていた。
梶は怖いのだ。告白して……結婚を申し込んで断られるのが。それで小町との仲が終わってしまうのが。何も言わず現状を維持すれば、友人としてずっと側にいられる。彼はそれを選ぼうとしているのだ。
「俺……まだご祈祷を願い出る資格なんてなかった」
梶が下唇を噛む。
「資格とはどういう意味でしょう?」
「言葉どおりだ。小町ちゃんを幸せにできないのに縁を結んでもらおうなんて……俺は、何ておこがましい願いをしたんだろう」
自分を諫めるように梶はギリギリと下唇を噛み続ける。
「幸せにできない? どうしてそう思われるのですか?」
「当然だろう? 俺にはまだ借金がある。それに……農場っていうのは自然を相手にしているような職業だ。いつまた天災に遭うか分からない。そんな男の嫁になってくれだなんて……」
モニター越しに、今頃気付くとは馬鹿な奴だ、と縁が鼻で笑うと、おバカになるのが恋です、とカイが眼鏡のテンプルをキリリと上げる。それに同意するかのようにハクがコクコク頷くと、お前は恋が何なのか知っているのか、と縁がハクを睨んだ。
「なるほど……だから資格が無い、ということですか?」
「ああ、そういうことだ」
「ですが、大変申し訳ありません。願いは反故できません」
結はお馴染みの台詞を言い、頭を下げる。
「神への願いはキャンセルが利かないのです」
「だとしたら、俺はどうすれば……」
「結果はどうあれ、突き進むしか有りません」
結には梶の本当の気持ちが視えていた。そして、梶の言葉全てが言い訳だということも分かっていた。
梶は怖いのだ。告白して……結婚を申し込んで断られるのが。それで小町との仲が終わってしまうのが。何も言わず現状を維持すれば、友人としてずっと側にいられる。彼はそれを選ぼうとしているのだ。