「梶さん、何をしているんですか?」
そして、男性の名前を呼んだ。
「結様、彼のこと、ご存じなんですか?」
カイの質問に結は決まりの悪そうな顔になる。
「巫女様、こいつなんだろう? 小町ちゃんとのことを祈願しに来るって奴!」
「小町? それ誰?」
「白々しい! 円屋の小町ちゃんだよ」
梶がインに向かって拳固を振り上げようとしたとき、「騒がしい!」と怒号が響く。
「縁様……」
ふわぁ、と欠伸をしながら、「気持ち良く二度寝していたのに」と、見るからに〝不機嫌マックスな顔〟でその場の全員を睨んだ。
だが、カイはそんな睨みに怯むこと無く、「何が二度寝ですか!」と逆に睨み返した。
「十時からご祈祷がございます。と、昨夜、申し伝えましたが、お忘れでしたか?」
フンと鼻で返事をすると、「アラームが鳴るんだろ?」と縁が答える。
すると今度は、「寝惚け眼でご祈祷をするつもりだったんですか?」と結が怒り始めた。
その様子を見ていたインが「そうだ! 不真面目だぞ」と囃し立てる。その声に縁がハッとする。そして、指を差して叫んだ。
「因!」
チッと盛大な舌打ちが聞こえ、インが「バレたか」と肩を竦める。
「因……様?」
カイの目が、これ以上開かないというぐらい見開かれた次の瞬間、「おぉぉ、確かに、因様でございます」と言って彼に駆け寄った。
「インが因様って……?」
ハクの問いに結は小さく首を横に振るが、蚊帳の外に置かれた梶の方がさらに困惑しているようだった。だが、すぐさま体勢を立て直すと縁に文句を言った。
そして、男性の名前を呼んだ。
「結様、彼のこと、ご存じなんですか?」
カイの質問に結は決まりの悪そうな顔になる。
「巫女様、こいつなんだろう? 小町ちゃんとのことを祈願しに来るって奴!」
「小町? それ誰?」
「白々しい! 円屋の小町ちゃんだよ」
梶がインに向かって拳固を振り上げようとしたとき、「騒がしい!」と怒号が響く。
「縁様……」
ふわぁ、と欠伸をしながら、「気持ち良く二度寝していたのに」と、見るからに〝不機嫌マックスな顔〟でその場の全員を睨んだ。
だが、カイはそんな睨みに怯むこと無く、「何が二度寝ですか!」と逆に睨み返した。
「十時からご祈祷がございます。と、昨夜、申し伝えましたが、お忘れでしたか?」
フンと鼻で返事をすると、「アラームが鳴るんだろ?」と縁が答える。
すると今度は、「寝惚け眼でご祈祷をするつもりだったんですか?」と結が怒り始めた。
その様子を見ていたインが「そうだ! 不真面目だぞ」と囃し立てる。その声に縁がハッとする。そして、指を差して叫んだ。
「因!」
チッと盛大な舌打ちが聞こえ、インが「バレたか」と肩を竦める。
「因……様?」
カイの目が、これ以上開かないというぐらい見開かれた次の瞬間、「おぉぉ、確かに、因様でございます」と言って彼に駆け寄った。
「インが因様って……?」
ハクの問いに結は小さく首を横に振るが、蚊帳の外に置かれた梶の方がさらに困惑しているようだった。だが、すぐさま体勢を立て直すと縁に文句を言った。