「はい……」
赤城俊哉とは再就職先の職場近くで再会したそうだ。
「あっ……このお茶、美味しい!」
一口飲み、彼女がパッと瞳を輝かせた。それも結は脳内にメモ書きする。
「滋賀県の信楽町朝宮で作られている日本五大銘茶の一つ〝朝宮茶〟です。日本最古のお茶と言われているんですよ」
「えっ、そうなんですか? お茶と言えば宇治茶とか静岡茶とか、それぐらいしか知りませんでした」
彼女が申し訳なさそうに項垂れる。凄く真面目な人、と結はさらに書き留める。
「いえいえ、県内の人でも知らない人が大勢いるくらいですから、県外の方がご存じないのは当然です」
灯台もと暗し。朝宮茶だけではない。自分のすぐ近くに素晴らしい物があるのに、それを知らずに生活している人は大勢いる。
「でも、知らないより知っていた方が生活を豊かにする場合もあります……覚えて下さいね、朝宮茶のことも」
結がウインクと共にフフフと笑みを零すと、佐々木聖美も「ええ、覚えました」と笑った。
彼女の気持ちが少し解れたように感じた結は、話を先程の赤城俊哉に戻す。
「それで、赤城俊哉さんと両想いになりたいということですね?」
「おかしいですよね? 怖がっているのに両想いになりたいなんて」
確かに、と結は心の中で頷く。
「でも……どうしてだか、そう思ったら気持ちが止められなくて……」
「両想いになったら、お付き合いが始まると思うのですが、それは大丈夫ですか?」
怖いと思っている人と付き合えるのだろうか?
「克服します。でも……私、この歳まで男性とお付き合いしたことがなくて……」
彼女は「私ってこんなだから……」と自分を卑下するようなことを言い始めた。
赤城俊哉とは再就職先の職場近くで再会したそうだ。
「あっ……このお茶、美味しい!」
一口飲み、彼女がパッと瞳を輝かせた。それも結は脳内にメモ書きする。
「滋賀県の信楽町朝宮で作られている日本五大銘茶の一つ〝朝宮茶〟です。日本最古のお茶と言われているんですよ」
「えっ、そうなんですか? お茶と言えば宇治茶とか静岡茶とか、それぐらいしか知りませんでした」
彼女が申し訳なさそうに項垂れる。凄く真面目な人、と結はさらに書き留める。
「いえいえ、県内の人でも知らない人が大勢いるくらいですから、県外の方がご存じないのは当然です」
灯台もと暗し。朝宮茶だけではない。自分のすぐ近くに素晴らしい物があるのに、それを知らずに生活している人は大勢いる。
「でも、知らないより知っていた方が生活を豊かにする場合もあります……覚えて下さいね、朝宮茶のことも」
結がウインクと共にフフフと笑みを零すと、佐々木聖美も「ええ、覚えました」と笑った。
彼女の気持ちが少し解れたように感じた結は、話を先程の赤城俊哉に戻す。
「それで、赤城俊哉さんと両想いになりたいということですね?」
「おかしいですよね? 怖がっているのに両想いになりたいなんて」
確かに、と結は心の中で頷く。
「でも……どうしてだか、そう思ったら気持ちが止められなくて……」
「両想いになったら、お付き合いが始まると思うのですが、それは大丈夫ですか?」
怖いと思っている人と付き合えるのだろうか?
「克服します。でも……私、この歳まで男性とお付き合いしたことがなくて……」
彼女は「私ってこんなだから……」と自分を卑下するようなことを言い始めた。