「まずは仕事を探さないとダメね」
 お金の余裕はあるけれど何がきっかけで居場所が特定されるかわからない。
 だから、いざと言う時の為に貯めておこう。
 そうなるとやっぱり働かないとダメなので私は『商業ギルド』に行ってみる事にした。
 商業ギルドは商人や求職者の為のギルドで、私みたいな『訳あり』の人間でも受け入れてくれる。
 町の地図で場所を確認して商業ギルドへとやって来た。
 早速受付の女性に声をかけた。
「すいません、登録したいんですが」
「はいはい、それではこちらの紙に記入して下さい」
 登録用紙を渡されて近くの机で記入していく。
 名前は本名は書けないので『シャル』にしておこう。
 住所も今は無いから未記入にしておいて・・・・・・。
「これでOKね」
 受付に用紙を渡した。
「お名前はシャルさん、年齢は15歳、女性と・・・・・・。住所は無いんですね?」
「はい、この町に来たばっかりなので・・・・・・」
「わかりました、ではギルドカードを発行致します」
 受付の女性は機械に色々打ち込んでカードが出てきた。
「こちらがシャルさんのギルドカードとなります。身分証明書にもなりますので落とさない様に気をつけて下さい」
「ありがとうございます」
 私は渡されたカードをじっと見る。
 これでこの世界にシャルという人間が生まれた。
「さて、早速仕事を探さないと」
 私は職業斡旋コーナーにやって来た。
「すいません、仕事を探しに来たんですが」
「どの様な仕事をお探しでしょうか?」
「住み込みで働ける所がいいんです。あと、貴族とかは目立ちたくはないので・・・・・・」
「ふむふむ、住み込みの仕事となると・・・・・・、こちらなんてどうでしょうか?」
 私に渡されたのは宿屋の店員募集だった。