完全失踪令嬢

 そうと決めれば行動に移すのみ。
 まずはお金を作る為に売れる物は全部売ってしまおう。
 私は質屋に行き身に付けていたアクセサリーを全部売り、そのお金で服を買って着ていた服を売った。
 派手だった服から何にも飾りの無いシンプルな服は私に丁度良かった。
 ついでに長かった髪もバッサリと切った。
 何処からどう見ても貴族には見えまい。
 残ったお金で生活必需品を購入して、出発の準備は完了した。
「あ、その前にやらないといけないのですか事があったわね」
 私は紙にサラサラと書いてポストに入れた。
 書いたのは今までの恨み辛み愚痴、そして縁切りの手紙、実家とお城に送ってやった。
 これぐらいしてもバチは当たらないはず。
 これで王都でやり残した事はないので私は馬車の停留所に向かい馬車に乗り込んだ。
 行き先は此処から一山越えた所にある国境に近い町。
 出来れば隣の国に行きたいのだが取り締まりが厳しいのでとりあえず一番遠い町へ向かう事にした。
 貴族の時は豪華な馬車に乗っていたけど乗り合いの馬車はクッションが無いのでお尻が痛い。
 隣に座っていたおじさんがクッションを貸してくれた。
 そのおじさんは隣国から出稼ぎに来たそうで帰るみたい。
 丁度私ぐらいの娘さんがいるらしい。
 私の他には冒険者らしい人達とかも乗っていた。
 話を聞けばこの国、どうも評判が悪いらしい。
 隣国との関係も微妙みたい。
 私が教えられていた事と全然違っていてビックリした。
 アイツら、嘘を教えていたな・・・・・・。
 私が教えられていたのは如何にこの国が立派で素晴らしい国か、という事。
 やっぱり縁を切って正解だった。
 王都を出て1週間、遂に目的地に到着した。
 おじさんとは此所でお別れだ。
 この国境の町『ミンシア』は、王都並みではないけど人の往来が凄い。
 平民とか冒険者とかごちゃごちゃしている。
 王都が『オシャレな街』だとすればミンシアは『庶民の町』。
 でも、活気があって私はこっちの方が好き。
 私は新聞を買ってある欄を見た。
 そのある欄というのは『行方不明者リスト』。
 この欄に名前が載って1年後に見つからなかった場合、強制的に籍が抜かれる。
 つまり、死人扱いされる。
 私はそれを狙っている。
 だから、名前が無いかチェックした。
 バッチリと載っていました。
『○月×日 シャンティーヌ・モリガン公爵令嬢』と日付入りでちゃんと載っていました。
 まぁ、1週間は探していた、て言う事になるわね。
 でも諦めて名前を載せたんでしょう。
 さぁ、これからが私の戦いの始まりだ。
 1年間、探し出されずにいれば私の勝ちだ。
 絶対にバレずに逃げ切ってやる!