家に着くと、真っ暗な闇が俺を襲ってくる。
急いで明かりをつけると、水をくみにキッチンへ向かう。
時計を見ると、薬を飲む時間を過ぎていたので、急いで薬を口に入れる。

 今日一日は俺の人生の中で数回と言っていいほど緊張した日だ。
でも彼女は笑わなかった。
彼女の目は俺が彼女を見つけるまでの目と同じ目をしている。
この命が人の役に立つならそうしたい。
だから……

 携帯を取り出した。そして送信ボタンを押す。

一時間経っても返ってこないメールに諦めかけた。
やっぱり俺は人のためには生きられないのか。

今までもそうだった。
これからもそうなのか……
それでもこの命を何かの形にして残したい。
一冊のノートを取り出し、今日一日の出来事をつづった。
彼女には病気の事は黙っておこう。
きっと彼女も病気の事を知ったらどこかへ行ってしまうに違いない。
そして大きく最後に書く。
―まず一つ目の目標は梨沙ちゃんを笑わす事―