雲一つない夏の日差しが厳しい今日。
私は珍しく外出用のワンピースを着て、外に出た。
いつもは家でじっとしていることが多いため、部屋着のような格好をしていた。
そのせいか、ワンピースが足に触れる感触が心をくすぐる。
商店街に入ると、平日とはまた違った雰囲気がある。
歩いていくと、一人、見覚えのある金髪姿の青年がいる。
朝陽さんだ。
遠くから見る朝陽さんはやっぱり少し怖い。
だが、咳き込んだ後、私を見つけると、昨日と変わらない笑顔を見せる。
少し体調でも悪いのだろうか。
そんなことを少しは思いつつ、小走りで朝陽さんに近づく。
「お待たせしました」
私の声はいつもより少し高い声だった。緊張しているのだろう。
「大丈夫です。まだ時間まであるし、俺が早かっただけだから」
朝陽さんの顔はどこか子供のような笑顔を浮かべている。
「どこに行きたいですか?女の子が行きたい場所とか分からなくて」
朝陽さんは頭を少しかく。
初めて女の子と遊ぶのかな?意外だな。
そんなことを思いつつ、私は携帯を取り出して、行先を調べる。
「こんなところはどうですか?初めてですし、少しお話でも」
私は携帯に表示されたカフェの写真を見せる。
すると朝陽さんは優しい微笑みを浮かべる。
「行きましょう」
カフェに着くと、奥の席に案内され、二人とも話題を探すようにメニューを見た。
私がアイスティーを頼み、朝陽さんはまた意外な事にオレンジジュースを頼んだ。
「あの、なんて呼べばいいですか?」
朝陽さんの問いに私は少し考えたが、何も出てこなかった。
「何でもいいですよ。好きな風に呼んでください」
「じゃあ、梨沙ちゃんでも?」
「かまいません」
朝陽さんは何かある度にあの笑顔を見せてくる。
そんなに喜ぶことだろうか。と考えたりしながら、私たちは運ばれてきた飲み物を少しずつ減らす。
話が弾まない中、朝陽さんが必死に問いかけてくる姿を見て一つ思いついたことがあった。
「朝陽さん。敬語じゃなくていいですよ」
「え?」
「朝陽さんの方が年上そうですし」
朝陽さんは少し考え込むような様子を見せる。
「じゃあ、お互いに敬語使わないのはどう?」
ぎこちない朝陽さんの言葉に私は頷いた。
「ちなみに俺、21歳だけど大丈夫?梨沙ちゃん、こないだ見た限り高校生でしょ?」
「大丈夫です。心配する人もいないんで」
私のどこか心の声が漏れたような言葉は朝陽さんの顔を曇らせた。
それを見て私は目の前にあるアイスティーを手に取り、会話を終わらせた。
「今日はありがとう」
「こちらこそ」
私たちは最初に会った場所で別れた。
結局話も弾まなかった。
きっとこれっきりだろうな。
そう思いながら、啓紀の待つ家に帰った。
「ただいま」
「お帰り。どこ行ってたの?」
啓紀の興味津々な顔を見て、思わず嘘が出る。
「参考書、見に行ってた。」
「そうなんだ。進学先決まりそう?」
「全然」
私は足早に自分の部屋へと向かった。
その様子を啓紀が気にしているのを知りながら。
部屋について真っ先に見たのは携帯。
連絡がきっと来ないと分かっていても、期待している自分がどこかにいた。
すると、携帯が振動して電源を付けた。
朝陽さんだった。
―梨沙ちゃん。今日はありがとう。とても楽しかった。話弾まなくてごめんね。梨沙ちゃんに一つ言い忘れたことがあるから連絡したんだ。何かあったら僕を頼ってほしい。頼りづらいと思うけど。だから辛い時には連絡して―
私の手は止まった。
どうして辛いなんてことが分かったのだろう。
朝陽さんは一体何を求めているのだろう。
そう思った。
返信に困った私は、そのまま携帯を閉じ、啓紀のいるリビングへと向かった。
リビングに来た頃にはメールの返信を忘れていた。
私は珍しく外出用のワンピースを着て、外に出た。
いつもは家でじっとしていることが多いため、部屋着のような格好をしていた。
そのせいか、ワンピースが足に触れる感触が心をくすぐる。
商店街に入ると、平日とはまた違った雰囲気がある。
歩いていくと、一人、見覚えのある金髪姿の青年がいる。
朝陽さんだ。
遠くから見る朝陽さんはやっぱり少し怖い。
だが、咳き込んだ後、私を見つけると、昨日と変わらない笑顔を見せる。
少し体調でも悪いのだろうか。
そんなことを少しは思いつつ、小走りで朝陽さんに近づく。
「お待たせしました」
私の声はいつもより少し高い声だった。緊張しているのだろう。
「大丈夫です。まだ時間まであるし、俺が早かっただけだから」
朝陽さんの顔はどこか子供のような笑顔を浮かべている。
「どこに行きたいですか?女の子が行きたい場所とか分からなくて」
朝陽さんは頭を少しかく。
初めて女の子と遊ぶのかな?意外だな。
そんなことを思いつつ、私は携帯を取り出して、行先を調べる。
「こんなところはどうですか?初めてですし、少しお話でも」
私は携帯に表示されたカフェの写真を見せる。
すると朝陽さんは優しい微笑みを浮かべる。
「行きましょう」
カフェに着くと、奥の席に案内され、二人とも話題を探すようにメニューを見た。
私がアイスティーを頼み、朝陽さんはまた意外な事にオレンジジュースを頼んだ。
「あの、なんて呼べばいいですか?」
朝陽さんの問いに私は少し考えたが、何も出てこなかった。
「何でもいいですよ。好きな風に呼んでください」
「じゃあ、梨沙ちゃんでも?」
「かまいません」
朝陽さんは何かある度にあの笑顔を見せてくる。
そんなに喜ぶことだろうか。と考えたりしながら、私たちは運ばれてきた飲み物を少しずつ減らす。
話が弾まない中、朝陽さんが必死に問いかけてくる姿を見て一つ思いついたことがあった。
「朝陽さん。敬語じゃなくていいですよ」
「え?」
「朝陽さんの方が年上そうですし」
朝陽さんは少し考え込むような様子を見せる。
「じゃあ、お互いに敬語使わないのはどう?」
ぎこちない朝陽さんの言葉に私は頷いた。
「ちなみに俺、21歳だけど大丈夫?梨沙ちゃん、こないだ見た限り高校生でしょ?」
「大丈夫です。心配する人もいないんで」
私のどこか心の声が漏れたような言葉は朝陽さんの顔を曇らせた。
それを見て私は目の前にあるアイスティーを手に取り、会話を終わらせた。
「今日はありがとう」
「こちらこそ」
私たちは最初に会った場所で別れた。
結局話も弾まなかった。
きっとこれっきりだろうな。
そう思いながら、啓紀の待つ家に帰った。
「ただいま」
「お帰り。どこ行ってたの?」
啓紀の興味津々な顔を見て、思わず嘘が出る。
「参考書、見に行ってた。」
「そうなんだ。進学先決まりそう?」
「全然」
私は足早に自分の部屋へと向かった。
その様子を啓紀が気にしているのを知りながら。
部屋について真っ先に見たのは携帯。
連絡がきっと来ないと分かっていても、期待している自分がどこかにいた。
すると、携帯が振動して電源を付けた。
朝陽さんだった。
―梨沙ちゃん。今日はありがとう。とても楽しかった。話弾まなくてごめんね。梨沙ちゃんに一つ言い忘れたことがあるから連絡したんだ。何かあったら僕を頼ってほしい。頼りづらいと思うけど。だから辛い時には連絡して―
私の手は止まった。
どうして辛いなんてことが分かったのだろう。
朝陽さんは一体何を求めているのだろう。
そう思った。
返信に困った私は、そのまま携帯を閉じ、啓紀のいるリビングへと向かった。
リビングに来た頃にはメールの返信を忘れていた。