朝陽ともう一度向き合おうと決めてから一か月が経った。
彼の苦しむ姿は遠目から何回も見てきた。
朝陽と私の間に残された時間は残り少ない。
その時間をどう使うか私は考えていた。
そんな日曜日の朝だった。
医者から私は希望のひとかけらを聞く。
「今、彼に外出許可を出してきましたから。でも、今日だけですよ」
医者はそう言うと立ち去った。
私は嬉しくて、立ち去る医者に頭を下げた。
病室に向かうと、朝陽がこちらを向いて、笑っている。
「朝陽。今日外出できるって」
「うん。どこ行こうか」
二人の時間がどんどん笑顔で満たされていく。
朝陽と外に出るのはなんだか不思議なくらいだった。
「じゃあ行こっか」
私は朝陽の手を握り、ゆっくりとかみしめるように歩いた。
一刻一刻と過ぎていく時間が楽しくて惜しかった。
一番初めはショッピングモール。
私が落ち込んでいた時に、朝陽が連れてきてくれた場所。
そこで、私たちはゲームセンターに行き、朝陽の得意なゲームをする。
私たちの間には数か月前のような笑顔が戻ってきていた。
二番目は初めての時に行ったカフェ。
ここも思い出のある場所。
二人で今までの事を振り返りながら、たわいもない会話で楽しい時間を過ごす。
止まってくれない時計はもうすでに三時を指していた。
「早いね」
「そうだね」
病室に戻る事を考えると、二人とも自然に会話と笑顔がなくなる、
「梨沙。最後に行きたい場所があるんだ」
朝陽に手を引かれ、歩くと、見覚えのある道を通り過ぎていく。
気付けば、初めて出会った商店街に来ていた。
「ここから全部始まったんだね」
「そうだね。朝陽の言動にはいつも驚かされてたな」
二人で商店街に設けられたベンチに座って、その景色を見た。
「あの時、朝陽に会わなかったら私ずっと暗い未来を想像してたと思う」
朝陽は微笑んでいる。
それが心地よくて話を続けた。
「でも、今は明るい未来を想像するようになった。自分も明るくなれたし」
私は笑った。でも、頬には涙が伝った。
「梨沙」
呼ばれて振り向くと、朝陽が私にキスをした。
「泣かないで。笑ってる梨沙が好きだから」
今にも流れてきそうな涙をこらえて私は笑った。
病室に帰ると、朝陽はベッドに横たわった。
「久しぶりに出たから、疲れたね」
「そっか。じゃあ、今度はもっと振り回してあげる」
「おい。それはないだろ」
私と朝陽の会話は以前より、明るく、お互いの距離を感じさせないものだった。
少しの間、話していると面会時間を過ぎていた。
「梨沙。もうすぐ帰らないと」
「……帰りたくない」
私のわがままだと分かっていた。
でもこのままだと朝陽がどこかに行ってしまう気がして朝陽の服の袖をつかんだ。
「じゃあ、隠れて泊まってく?」
朝陽の子供のような笑顔は私を笑顔にする。
「うん」
「ちょっと悪い事してるけど、朝陽と居れて幸せ」
私は朝陽の隣で呟く。
朝陽は私の頭を撫でると、笑って見せる。
「俺も幸せだよ」
そういってキスをすると、私は目を閉じた。
このまま時間が止まればいいのに。でも、時間は止まってくれなかった……
彼の苦しむ姿は遠目から何回も見てきた。
朝陽と私の間に残された時間は残り少ない。
その時間をどう使うか私は考えていた。
そんな日曜日の朝だった。
医者から私は希望のひとかけらを聞く。
「今、彼に外出許可を出してきましたから。でも、今日だけですよ」
医者はそう言うと立ち去った。
私は嬉しくて、立ち去る医者に頭を下げた。
病室に向かうと、朝陽がこちらを向いて、笑っている。
「朝陽。今日外出できるって」
「うん。どこ行こうか」
二人の時間がどんどん笑顔で満たされていく。
朝陽と外に出るのはなんだか不思議なくらいだった。
「じゃあ行こっか」
私は朝陽の手を握り、ゆっくりとかみしめるように歩いた。
一刻一刻と過ぎていく時間が楽しくて惜しかった。
一番初めはショッピングモール。
私が落ち込んでいた時に、朝陽が連れてきてくれた場所。
そこで、私たちはゲームセンターに行き、朝陽の得意なゲームをする。
私たちの間には数か月前のような笑顔が戻ってきていた。
二番目は初めての時に行ったカフェ。
ここも思い出のある場所。
二人で今までの事を振り返りながら、たわいもない会話で楽しい時間を過ごす。
止まってくれない時計はもうすでに三時を指していた。
「早いね」
「そうだね」
病室に戻る事を考えると、二人とも自然に会話と笑顔がなくなる、
「梨沙。最後に行きたい場所があるんだ」
朝陽に手を引かれ、歩くと、見覚えのある道を通り過ぎていく。
気付けば、初めて出会った商店街に来ていた。
「ここから全部始まったんだね」
「そうだね。朝陽の言動にはいつも驚かされてたな」
二人で商店街に設けられたベンチに座って、その景色を見た。
「あの時、朝陽に会わなかったら私ずっと暗い未来を想像してたと思う」
朝陽は微笑んでいる。
それが心地よくて話を続けた。
「でも、今は明るい未来を想像するようになった。自分も明るくなれたし」
私は笑った。でも、頬には涙が伝った。
「梨沙」
呼ばれて振り向くと、朝陽が私にキスをした。
「泣かないで。笑ってる梨沙が好きだから」
今にも流れてきそうな涙をこらえて私は笑った。
病室に帰ると、朝陽はベッドに横たわった。
「久しぶりに出たから、疲れたね」
「そっか。じゃあ、今度はもっと振り回してあげる」
「おい。それはないだろ」
私と朝陽の会話は以前より、明るく、お互いの距離を感じさせないものだった。
少しの間、話していると面会時間を過ぎていた。
「梨沙。もうすぐ帰らないと」
「……帰りたくない」
私のわがままだと分かっていた。
でもこのままだと朝陽がどこかに行ってしまう気がして朝陽の服の袖をつかんだ。
「じゃあ、隠れて泊まってく?」
朝陽の子供のような笑顔は私を笑顔にする。
「うん」
「ちょっと悪い事してるけど、朝陽と居れて幸せ」
私は朝陽の隣で呟く。
朝陽は私の頭を撫でると、笑って見せる。
「俺も幸せだよ」
そういってキスをすると、私は目を閉じた。
このまま時間が止まればいいのに。でも、時間は止まってくれなかった……