「ううっ……。どうせっ」

 手足にめいいっぱい力を込めているせいで、思うように声が続かない。

「どうせ?」

「どうせ、メガネを外したら、何にも見えませんからっ」

 見えないことが、余計に恐怖感を煽ってしまう。

 なら、目を開ければ良いようなものだけど、防御本能と言うヤツが勝手に反応してしまうのだ。

「でも、全く見えない訳じゃないでしょう? ほら、ほら、目を開けて」

 って、人の頬っぺたをつっ突くんじゃない、好青年!

 いや好青年の皮を被った……ガキ大将めっ!

 心の叫びは声にはならず、次の瞬間、体を包んだ浮遊感に全身が凍った。

 ひ、ひ、ひえーーーーっ!!

「うーーーーっ!?」

 ストンと気分は垂直落下。そしてすぐさま右に左に斜め上。

 変幻自在で体にかかる重力と遠心力の相乗効果の荒業に、声にならない悲鳴を上げ続け。

「ほら、目を開けて!」

 飯島さんの声に励まされて、おそるおそる開けた目に飛び込んで来たのは、一面のブルー。

 その色彩に視界を満たされた瞬間、すべての音が消えた。

 そこここで上がっていた悲鳴や歓声。

 自分の荒い呼吸音すら消えたその瞬間。

 ああ、綺麗だなぁ……と、確かに感じた。