「あの家に誰かが引っ越ししてきたぞ」
「あの家ってポーチがあって、玄関が奥に引っ込んで雨や風が入りにくい家の事か」
「そうだ」
「どんな感じの奴らだ」
「なんとなく、ちょろい感じがする」
「うまくやれそうか」
「とりあえず、まだ引っ越しでバタバタしているから様子を見よう」
「そうだな」
虎視眈々とした目を向けて、秘密の話し合いがされていた。
今はまだ不穏さも表立ってないが、知らない所で確実にその家は狙われていた。
季節は春を迎える前の寒い日々が続くころ。
そろそろアクションを起こしたいと思っている輩が、確実にその近所に潜んでいた。
「結構広々としたポーチだ。ゆったりと過ごすにはもってこいの場所だ。そこにベンチを置きやがった」
「ご丁寧にクッションまであるじゃないか」
「外にまで家具を用意するなんて、ここは中々金には余裕がありそうだ」
「だが、まさか犬を飼ってないだろうな」
匂いに敏感ですぐさま怪しいものを感知し、大きな声で吼える犬は苦手どころか、殺意を感じる程自分達には不利な生き物だった。
懐いて上手く懐柔できるならまだしも、突然現れた見知らぬものにはそういう訳にもいかないだろう。
必ずしつこく吼えられて、敵意を持たれる。
追いかけられたら厄介だ。
最悪な場合、噛みつかれることだってある。
心配しながら、窓を通してそっと中の様子を見れば、家のものたちも外の異変に気が付いてしまった。
素早く姿を隠す。
「やばかった。もう少しで見つかるところだった」
「だが、今ので犬がいない事がわかった。奴らは猫を飼ってる」
「おっ、猫か。だが、気の荒いのはいないだろうな」
「さあ、犬よりはまだいい。それどころか、上手くやれそうだ」
その数日後。
「おい、空箱をポーチに置いたぜ」
「そろそろ家も片付いたんだろうか」
「あっ、玄関から出てきた。どこかへいくつもりだろう」
「それじゃ、行動を起こすか」
家に誰もいなくなった頃、そいつらはとうとう行動を起こした。
そして家の主が帰ってきたときが見ものだった。
「うわぁ、大変。箱に猫が入ってる。しかも、ベンチにもう一匹くつろいで座ってる」
「これ、この間家の周りをうろついていた野良猫じゃないのかな」
夫婦がお互い顔を見合わせそれぞれ言った。
どうしようかと夫婦の心が揺れている時、箱からつぶらな瞳を向けて、家の主に『にゃん』と鳴く。
ベンチにいる猫は、夫婦を見て喉をゴロゴロ鳴らした。
夫婦はすぐさまその猫たちをなぜ、うっとりしてしまった。
「かわいいね」
「いい猫たちだね」
猫好きな夫婦にはたまらなかった。
そして数日後、その猫たちはこの家の子になってしまった。
二匹は顔を見合わす。
「計画通り」
「あの家ってポーチがあって、玄関が奥に引っ込んで雨や風が入りにくい家の事か」
「そうだ」
「どんな感じの奴らだ」
「なんとなく、ちょろい感じがする」
「うまくやれそうか」
「とりあえず、まだ引っ越しでバタバタしているから様子を見よう」
「そうだな」
虎視眈々とした目を向けて、秘密の話し合いがされていた。
今はまだ不穏さも表立ってないが、知らない所で確実にその家は狙われていた。
季節は春を迎える前の寒い日々が続くころ。
そろそろアクションを起こしたいと思っている輩が、確実にその近所に潜んでいた。
「結構広々としたポーチだ。ゆったりと過ごすにはもってこいの場所だ。そこにベンチを置きやがった」
「ご丁寧にクッションまであるじゃないか」
「外にまで家具を用意するなんて、ここは中々金には余裕がありそうだ」
「だが、まさか犬を飼ってないだろうな」
匂いに敏感ですぐさま怪しいものを感知し、大きな声で吼える犬は苦手どころか、殺意を感じる程自分達には不利な生き物だった。
懐いて上手く懐柔できるならまだしも、突然現れた見知らぬものにはそういう訳にもいかないだろう。
必ずしつこく吼えられて、敵意を持たれる。
追いかけられたら厄介だ。
最悪な場合、噛みつかれることだってある。
心配しながら、窓を通してそっと中の様子を見れば、家のものたちも外の異変に気が付いてしまった。
素早く姿を隠す。
「やばかった。もう少しで見つかるところだった」
「だが、今ので犬がいない事がわかった。奴らは猫を飼ってる」
「おっ、猫か。だが、気の荒いのはいないだろうな」
「さあ、犬よりはまだいい。それどころか、上手くやれそうだ」
その数日後。
「おい、空箱をポーチに置いたぜ」
「そろそろ家も片付いたんだろうか」
「あっ、玄関から出てきた。どこかへいくつもりだろう」
「それじゃ、行動を起こすか」
家に誰もいなくなった頃、そいつらはとうとう行動を起こした。
そして家の主が帰ってきたときが見ものだった。
「うわぁ、大変。箱に猫が入ってる。しかも、ベンチにもう一匹くつろいで座ってる」
「これ、この間家の周りをうろついていた野良猫じゃないのかな」
夫婦がお互い顔を見合わせそれぞれ言った。
どうしようかと夫婦の心が揺れている時、箱からつぶらな瞳を向けて、家の主に『にゃん』と鳴く。
ベンチにいる猫は、夫婦を見て喉をゴロゴロ鳴らした。
夫婦はすぐさまその猫たちをなぜ、うっとりしてしまった。
「かわいいね」
「いい猫たちだね」
猫好きな夫婦にはたまらなかった。
そして数日後、その猫たちはこの家の子になってしまった。
二匹は顔を見合わす。
「計画通り」