「では、いただこうか」


みんなで手を合わせて『いただきます』と言うのが、ここのルールらしい。
雨天様の声に倣って、コンくんとギンくんとともに私の声が重なった。


朝食のメニューは、炊きたてのご飯にお味噌汁、だし巻き卵や焼き鮭、さらには海苔まで用意されている。
日本の定番の朝ご飯そのもので、なんだか懐かしさを覚えた。


「おいしい……」


出汁がしっかり効いたお味噌汁は優しい味で、おばあちゃんが作ってくれたものとよく似ている。
私にとって慣れ親しんだ懐かしい味はおばあちゃんの作ってくれたお味噌汁だけれど、お椀から漂う香りを感じながら再び口をつけると、やっぱり懐かしいような気持ちになった。


「たくさん食べるがよい。しっかり食べなければ、力も出ないだろう」

「雨天様、コンはもうご飯をおかわりしましたよ!」


私の言葉に笑みを零した雨天様に笑顔でお礼を言うと、コンくんはどこか自慢げに白い歯を覗かせ、山盛りのご飯をよそったお茶碗を見せた。
私は目を丸くし、ギンくんは呆れたように横目でコンくんを見て、雨天様は眉を寄せて微笑む。


「コン、お前はもう少し落ち着いて食べなさい」

「しっかり噛んで食べておりますよ! でも、雨天様のお味噌汁がおいしくて、箸が進むのです」

すると、コンくんの答えに雨天様が目を細めた。